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インプラントの前に検討したい「歯牙移植」と「歯根分割術」|天然歯を残す高度な外科処置

「この歯はもう残せないので、抜いてインプラントにしましょう」
歯科医院でこのように告げられ、大きなショックを受けたり、本当に抜くしかないのだろうかと悩んだりしていませんか?

インプラントは、失った歯の機能を補うための非常に優れた治療法です。しかし、どれほど技術が進歩し、本物そっくりの人工歯を作れるようになったとしても、神様がくれた「天然の歯(自分の歯)」に勝るものは絶対に存在しません。天然歯の周りには、噛んだときの硬さや感触を脳に伝える「歯根膜(しこんまく)」という極めて重要なクッション組織があり、これはインプラントでは決して再現できないからです。

私は、医療の第一選択は常に「いかにして患者さまご自身の歯を残すか」であるべきだと考えています。実は、「抜歯」と言われたケースであっても、高度な外科技術を駆使すれば、ご自身の別の歯を移し替えたり、悪くなった一部だけを切り離して残りの部分を活かしたりできる可能性があります。

この記事では、インプラントを検討する前にぜひ知っていただきたい、天然歯を残すための2つの高度な外科処置「歯牙移植」と「歯根分割術」について詳しく解説いたします。諦めかけていたあなたの歯を守るための、新たな選択肢となれば幸いです。

 

目次

 

1. なぜ「インプラントの前に」天然歯を残す努力が必要なのか

歯を失った際の選択肢として広く知られるインプラントですが、天然歯とは決定的な違いがあります。それが先ほど触れた「歯根膜(しこんまく)」の存在です。

歯根膜は、歯と骨の間にあるわずか0.2ミリほどの薄い繊維の膜です。噛んだときの衝撃を和らげるクッションの役割を果たすだけでなく、「どのくらいの硬さのものを噛んでいるか」を瞬時に感知して脳に伝えるセンサーの役割も担っています。インプラントにはこの歯根膜がないため、骨に直接固定されることになり、どうしても噛みごたえが硬く感じられたり、過剰な力がかかっても気づきにくかったりするデメリットがあります。

また、インプラントは天然歯に比べて細菌に対する抵抗力が弱く、「インプラント周囲炎」という病気を起こすと急速に骨が溶けてしまうリスクもあります。そのため、インプラントを選択するのは、あらゆる手段を尽くしても「本当にご自身の歯が残せない」と判断されたときの最終手段であるべきなのです。

 

2. 自分の親知らずを活かして噛み合わせをよみがえらせる「歯牙移植」

天然歯をどうしても抜かなければならなくなった場合、まず検討したいのが「歯牙移植(しがいしょく)」です。これは、むし歯や歯周病などで残せなくなった歯を抜いた場所に、ご自身の他の場所にある使われていない歯(主に「親知らず」や「埋伏歯」)を移し替える外科手術です。

最大のメリットは、ご自身の歯をそのまま使用するため、拒絶反応が起こらず、何より「歯根膜」を一緒に移植できる点です。手術が成功して周囲の骨としっかり結合すれば、以前と変わらない自然な噛み心地を取り戻すことができます。

ブリッジのように周囲の健康な歯を大きく削る必要もなく、インプラントという人工物を身体に入れることに抵抗がある方にとっても非常に有効な選択肢となります。機能していなかった親知らずが、大切なエースの歯として生まれ変わる画期的な治療法です。

 

3. 悪くなった根っこだけを切り離して健常部を残す「歯根分割術」

奥歯(大臼歯)には、根っこ(歯根)が2本あるいは3本に分かれているという特徴があります。むし歯が極限まで進行したり、根っこの一部が割れてしまったりした場合、通常は歯を丸ごと抜く「抜歯」と診断されてしまいます。しかし、分かれている根っこのうち「1本だけが悪く、他の根っこは完全に健康」というケースも少なくありません。

このような場合に用いられるのが「歯根分割術(しこんぶんかつじゅつ)」です。これは、悪くなってしまった根っこだけを外科的に切り離して抜去し、健康な状態の残りの根っこをお口の中に残す手法です。下の奥歯で行われる「ヘミセクション」や、上の奥歯で行われる「トライセクション」などがこれに該当します。

残った健康な根っこを土台として被せ物をすることで、歯の大部分を失うことなく、ご自身の歯で噛み続けることが可能になります。「悪くなったパーツだけを取り除き、使える部分は極限まで活かす」という、天然歯保存のための執念とも言える精密な処置です。

補足:難しい専門用語の解説
ヘミセクション: 根っこが2本ある下の奥歯において、悪くなった片方の根っこだけを分割して抜去し、もう片方の健康な根っこを残す手術です。
トライセクション: 根っこが3本ある上の奥歯において、悪くなった1本または2本の根っこを分割して抜去し、残りの健康な根っこを活かす手術です。

 

4. 自由診療だからこそ実現できる、徹底した精密外科処置へのこだわり

歯牙移植や歯根分割術は、非常に繊細で高度な技術を要する「精密外科処置」です。当院がすべての治療を自由診療(自費診療)で行っているのは、これらの高度な治療の成功率を極限まで高めるためです。

例えば、歯牙移植においては、抜いた親知らずがお口の外に出ている時間(離体時間)を1分1秒でも短くすることが、歯根膜の細胞を生着させるための絶対条件となります。当院では、事前に歯科用CTを用いて顎の骨の三次元的な構造や親知らずの形態を完璧に把握し、移植先の骨の穴を寸分の狂いもなく精密に整えてから移植を行います。

また、手術中やその後の根管治療(歯の神経の治療)においては、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を駆使し、肉眼では見えない微細な感染源や歯根のヒビを徹底的に確認しながら処置を進めます。保険診療のルールや時間の制約に縛られることなく、卓越した機材と十分な時間を注ぎ込める環境があるからこそ、難症例であっても天然歯を残すための高精度なアプローチが可能になるのです。

 

5. 移植や分割を成功させた後にお口を守り抜く予防プログラム「MTM」

高度な外科手術によって奇跡的に天然歯を残すことができたとしても、それで治療が終わりではありません。そもそも、なぜその歯が抜歯寸前まで悪くなってしまったのかという「根本原因」を解決しなければ、移植した歯や残した根っこも、いずれ同じ運命をたどることになってしまいます。

当院では、すべての治療のベースとして、科学的根拠に基づいた診療システム「MTM(メディカルトリートメントモデル)」を導入しています。初診時の精密検査(歯科ドック)によって、お口の中の細菌数、唾液の質、噛み合わせのバランス、生活習慣などを徹底的にリスク評価します。

治療後も、SDAエキスパート認定歯科衛生士をはじめとするお口のプロフェッショナルが、患者さま一人ひとりに最適化された予防プログラム(SOT)を実施します。定期的なメンテナンスでバイオフィルムを徹底的にコントロールし、ご自宅での正しいセルフケアと両立させることで、守り抜いた大切な天然歯を生涯にわたって維持し続けます。

 

6. まとめ|「抜歯」と診断されても諦める前にご相談ください

「抜いてインプラントにするしかない」と言われた歯であっても、まだ諦める必要はありません。歯牙移植や歯根分割術といった高度な選択肢によって、あなたの大切な天然歯を守り、ご自身の歯で美味しく食事を楽しめる未来を残せる可能性があります。

私たちは、自由診療という制限のない環境だからこそできる、マイクロスコープとCTを駆使した妥協のない精密外科治療をご提供いたします。インプラントにするか迷っている方、セカンドオピニオンを求めている方は、ぜひ一度ご相談ください。

東京都の渋谷区・代官山エリアで、天然歯を残す高度な歯科治療や精密な予防歯科をご希望なら、代官山WADA歯科・矯正歯科へお任せください。あなたの「一生モノの歯」を一本でも多く残すために、私たちが誠心誠意サポートいたします。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者情報

亀戸WADA歯科・矯正歯科 理事長 和田慎一郎

理事長

和田 慎一郎 | Shinichiro Wada

歯科大学卒業後、北海道の総合歯科医院での研鑽を経て、都内の会員制歯科医院にて10年間院長を歴任。「妥協のない最善の治療で多くの方の健康に寄与したい」という信念のもと、2016年に当院を開院。専門医連携による高度な治療と、予防を軸とした会員制治療の両立に注力している。

【略歴】

代官山WADA歯科・矯正歯科

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