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妊娠中の歯周病ケアが赤ちゃんにも影響?代官山の歯科が伝えたいこと

こんにちは。代官山WADA歯科・矯正歯科です。妊娠中というのは、女性にとって身体的にも精神的にも大きな変化を伴う特別な時期です。つわりや体調の変化に加え、日々の生活の中で赤ちゃんのことを第一に考えながら過ごされている方も多いのではないでしょうか。

そんな中で、「自分のことは後回し」「歯科にはしばらく行けていない」という方も少なくありません。しかし、歯科医師としてどうしてもお伝えしたいのは、“妊娠中こそ、口腔ケアが重要”であり、歯周病の管理が母体と赤ちゃんの健康を守る鍵になるという事実です。

本記事では、妊娠中に歯周病が進行しやすくなる理由や、赤ちゃんへの影響、そして妊婦さんが安心して受けられる歯科ケアについて、できる限りわかりやすく、かつ専門的な視点から丁寧に解説していきます。

1. 妊娠中の歯ぐきはなぜ炎症を起こしやすいのか

妊娠中の女性の体内では、ホルモンバランスが大きく変化します。特にエストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンが急増することで、全身の毛細血管が拡張しやすくなり、組織がむくみやすくなります。これは歯ぐきにも及び、わずかなプラーク(歯垢)でも過剰に炎症を起こす状態になるのです。

実際、日頃から歯を丁寧に磨いている妊婦さんでも、妊娠初期〜中期にかけて歯ぐきが腫れて出血しやすくなるケースは珍しくありません。この状態を「妊娠性歯肉炎」と呼び、妊婦さんの50%以上に発症が見られるとも言われています。

当院でも、妊娠を機に初めて歯ぐきの違和感を感じ、受診される方が一定数いらっしゃいます。そしてその多くが「もっと早く来ていればよかった」とおっしゃいます。妊娠中の歯周組織の変化は一時的なものではありますが、それが放置されると慢性的な歯周病へと進行するリスクがあるため、早めの対処が必要です。

2. 歯周病が母体を超えて赤ちゃんに及ぼす影響とは

歯周病の本質は「慢性炎症」です。そしてこの炎症は、局所(口腔内)にとどまらず、血流を介して全身へ影響を及ぼすことが、近年の医学研究で明らかになっています。

特に問題になるのが、歯周病菌によって放出される炎症性サイトカイン(IL-6やTNF-αなど)です。これらは母体の免疫反応を通じて子宮収縮を促すプロスタグランジンの分泌を刺激し、結果として早産や胎児の発育不全(低体重児出産)を引き起こすリスクを高めるとされています。

一見、口の中の問題がなぜ子宮に影響を?と思われるかもしれませんが、体内で起こる炎症反応は一つのシステムとして連動しています。歯科医師として、「お口の炎症をコントロールすることが、赤ちゃんの健康を守ることにつながる」という意識を多くの妊婦さんに持っていただきたいと切に願っています。

3. 妊婦さんの約半数が歯肉炎を経験する理由

妊娠中は、単にホルモンだけが影響しているわけではありません。生活環境そのものも、口腔内の衛生状態に大きく関わってきます。

例えば「つわり」。吐き気や匂いに敏感になることで、歯ブラシを口に入れるのが苦痛になり、十分な歯磨きができなくなる方は非常に多いです。また、食事の回数が増えたり、甘いものや炭水化物中心の食事が続いたりすることで、プラークが溜まりやすくなる生活環境が整ってしまうのです。

こうした“見えにくい要因”が重なって、いつも以上にお口の中に炎症を起こしやすい状態となり、本人も気づかぬままに歯周病が進行している…という状況が多々見られます。

4. 早産・低体重児との関係は医学的にも明らかに

ここであらためて重要なのは、歯周病と早産・低体重児出産との関係は、因果関係があると考えられているという点です。

たとえば、アメリカの研究では、歯周病を放置した妊婦は早産のリスクが約7倍に高まるというデータがあります。これは、喫煙やアルコール、妊娠高血圧症候群と同等のリスク因子とみなされています。

つまり、「お口の健康」が妊娠経過に与える影響は決して小さくないのです。「自分の体調は悪くないから大丈夫」と思っていても、歯ぐきの炎症が静かに全身に影響を及ぼす可能性があるということを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。

5. 「妊娠中は歯医者に行かない方がいい」は誤解です

妊婦さんの中には、「歯医者でレントゲンを撮ると赤ちゃんに影響がある」「麻酔は使えない」といった不安をお持ちの方もいらっしゃいます。ですが、これは正確ではありません。

妊娠中であっても、適切な時期(妊娠中期=16〜28週ごろ)であれば、安全に歯科治療を受けることが可能です。局所麻酔は母体にも胎児にも影響が少ないとされており、レントゲン撮影も防護エプロンを使用すれば問題ないと医学的に確認されています。

むしろ、歯ぐきが腫れている・出血しているなどの異常を放置するほうがリスクは大きいのです。当院では、妊娠週数や体調をしっかり伺いながら、無理のない範囲で最適なケアを行っております。

6. 妊娠中のセルフケア、どこまでやるべきか

「つわりがひどくて歯磨きができない…」「歯ブラシの匂いだけで吐き気がする」――このような方に無理なケアを勧めることはしません。

私たちは、「続けられる範囲で、少しでも口腔内を清潔に保つ」ことを第一にお伝えしています。たとえば、ヘッドの小さな歯ブラシに変える、無香料の歯磨き粉を選ぶ、食後の水うがいを徹底する、寝る前だけは頑張る――そういった工夫だけでも歯周病の進行を抑えることは可能です。

さらに、定期的なクリーニングや歯科衛生士によるブラッシング指導を受けることで、「自分ひとりで頑張らなくても良い」体制を整えることができます。必要なのは、完璧さではなく、継続可能な習慣です。

7. 当院での妊婦さんへのサポート体制

代官山WADA歯科・矯正歯科では、妊娠中の患者さまへの配慮を徹底しております。初診時には妊娠週数、つわりの有無、過去の治療歴などを詳しくお伺いし、その方にとって「今何が必要か、何が不要か」を明確にしたうえで診療計画を立てています。

また、院内にはリラックスできる空間づくりを意識し、体勢の負担が少ないよう診療チェアの角度調整なども細かく対応しています。必要があれば、産婦人科主治医との連携も行い、医療的にも安心して治療が進められる環境を整えています。

8. まとめ:お口のケアは“赤ちゃんへのプレゼント”

妊娠中の口腔ケアは、決して「贅沢な自己管理」ではありません。それは、お母さん自身の健康を守るだけでなく、生まれてくる赤ちゃんへの大切なプレゼントだと、私たちは考えています。

日々の育児や仕事で忙しい中でも、「今だからこそできるケア」があります。もしこの記事を読んで少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、妊婦さんと赤ちゃんの未来の笑顔を、歯科という立場から全力でサポートしていきます。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

渋谷区代官山T-SITE内の残すことを追求した歯医者・歯科

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TEL:050-3188-8587

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